インターネット創作研究
層雲自由律誌とトピックスご紹介

層雲自由律 最新号 紙面ご紹介(一部)  
 
作品抄 編集部薦(p2掲載)

■ためらいは地平線に溶け。椅子に戻って来た 近木圭之介
■まだ私が透明な青い石を持っていたころ 黒崎渓水
■だいこんとぶりの様なふたりが合っています 浅沼道子
■老木でこんなに重い実を負っていたのか 青木久生
■言いたくても言えない言葉風がさらっていく 植原宮子
■二枚目の舌がいらなくなった 新城宏
■行先あいまいに 秋の蝶 西川ふじ子
■眠れないが眠っていた 夢のあれこれ 山上清子
■流水の夜明け一つのうごく音 渡辺敏正
■白永い夢をみていた 鯨が鳴いていた 中條恵行
■母と子の糸やわらかく陽へ絡みおり 藤田踏青
■栗の花匂って来そうな今夜は月と遊ぼう 三好千峰
■夢での迷路 見失うあまたの顔 中谷みさを
■風に聞き耳たてる 風が聞き耳たてている 久光良一
■真っ直ぐが好きだ 死ぬ まで真っ直ぐ 野村稲波
■思想喪失 全てのものが皆 浮いている もりたえいいち
■いったい何しに来たんだ夢の中まで 伊藤完吾

ひとこと
自由律シリーズ・テーマ作品「夢・未来」

夢という言葉は、一見情緒的な優しい言葉に見えますが、はかないもののたとえとしても使われる、壊れやすい言葉であること。また空想的な願望や人の気持ちの危うさの象徴だったり、将来の願いや実現させたい理想の表現としても使われるという、幅の広い言葉のようです。
俳句としてすぐ思い浮かぶ「夢」の句では、

    旅に病んで夢は枯野をかけめぐる    芭蕉

今回のシリーズ特集では、できるだけ今日の句を中心に選び、古い時代の句は、自由律として既にある程度の評価の定まった句だけに絞りました。
今回の推薦票上位 の句を順に挙げさせてもらいます。

18票 ことんと寝がへりして美しい夢を失うた      武二 
16票 ゆめをはなしあっているあさ           雪男
15票 怒りにかっとしで夢であったか          井泉水
15票 ひさしぶりにゆめにきたつまにいいわすれたこと  あつゆき
15票 夢のなかで叱ってくれる父でしかない       父草
15票 思うまい思うまいと思うその夢である       うしほ
15票 いったい何しに来たんだ夢の中まで        完吾
13票 あたたかい夢を育てる布団つくってる       勝子
12票 あけがたとろりした時の夢であったよ       放哉

12票 春の日暮れへ行方不明になった機関車       翠壺洞
12票 月炎える私未来図どうあろうと          圭之介

12票 孤り寝る。ささやかな夢のかたちに        良一

(詳しくは、層雲自由律誌64号に掲載)