インターネット創作研究
層雲自由律誌とトピックスご紹介

層雲自由律 最新号 紙面ご紹介(一部)

作品抄 編集部薦(p2掲載)

■散歩  そこまでが遠い。一歩
■正しくは「遊び」という生きざま
■葱ならば青い部分になっている
■戦争から三歩の距離で見上げる星座
■隣りあったことで傷つけてしまう
■年をとっても頭弱っても誇りだけは残ってる
■累累と文明の屍。それでも砂漠に陽はのぼる
■やがてロボットに拾われる にんげんの骨
■さっきまで在った時間
■笑いで飛ばす失敗 これでいこう
■何か言いたそうに心電図が反応する
■戒名は要らない俗名で逝く
■拭いてはぬぐう眼鏡の奥の老の匂い
■野菜種鈴ふるように蒔いてゆく
■大根とぶっきらぼうな顔ぶらさげてくる
■天に昇るが夢/地に落ちるが現実
■力貯めこんで梅ひらく
近木 圭之介
いまきいれ尚夫
由川 うしほ
藤田 踏青
黒崎 渓水
中根 喜代
新城 宏
もりたえいいち
小池 能通
山上 清子
三好 千峰
中篠 恵行
中谷 みさを
林 隆一郎
久光 良一
青木 久生
中川 まさのり

ひとこと

自由律シリーズ・テーマ作品「世の句」

皆さんの評価の高かった句を挙げてみます。

20票 果たしてさういふ世が来るか、落葉してゐる
18票 誰とて黙ってただただ雪降る世相か
15票 なにもかも曲った世の中で、釘をのばす

15票 笑っちゃおれない世相に花火があがる
15票 世に問う理想あり青年ひたすら数式解く
15票 手をこまねいている者はいつの世も貧しい
15票 なんでもありの世に哲学の貧困
14票 世相どうあろうと新春のかしわ手はうつ 
14票 月が明るすぎる世間のうら
14票 百姓、もてあそばれてあほな世だ

(詳しくは、層雲自由律誌66号に掲載)





小沢 武二 
荻原 井泉水
中原 紫童
内島 北朗
平田 栄一
細川 草里
新城 宏
種子島 千代子
山本 秋光
南沢 延江


 武二の句には、プロレタリア派と見なされていた仲間の、層雲離脱にからむ複雑な思いがあったようです。
 井泉水の句には、多くの鑑賞文が寄せられました。二・二六事件の句で、ぜひ時代の証言者として残って欲しいものです。
 三番目の中原紫童の句では、つつましく生きようとする一教師、紫童の堅実さがひしひしと伝わって来ます。ところが世の中が段々きびしくなるにつれ、辛辣な世評を込めた作品はピタリと影をひそめてしまいます。

 句の中に再び世の中や世相を自由に詠めるようになるのは、戦後になってからですが、「世」の様々な状況を、人々に納得させることに役立ったのが、テレビの普及だったと言えましょう。いま世の中はテレビで動いていると言ってもよいくらいです。北朗の句を皆さんが共通理解する背景には、テレビの映像が重なっているように思えるのです。