インターネット創作研究
層雲自由律誌とトピックスご紹介

層雲自由律 最新号 紙面ご紹介(一部)

作品抄 編集部薦(p2掲載)

■色のない天気図 海に漂う椅子
■合掌 指先を拝む
■青林檎、戦争したい人はすればよろしい
■しみじみ見つめる十本の指の役わり
■車の奔流蹌踉と老人の点在す
■春に浮かれ己の歩幅忘れ
■顔をそむけても背中で誰だかわかる
■菜の花の海 一向恋文投げ込んでゆく
■春を笑いっぱなしの水が瀬をはしる
■ひねもす草引く婆の手、百迄届くかな
■健全な木に繃帯が巻いてある
■雲、ゆく先を告げずにゆく
■ごめん イワシもサンマもみんなうまい
■早乙女がいない田植機が田植している
■高層ビル路地裏の人情消えてゆく
■銀行の 金庫の中の 耳のいろいろ
■太陽が血を流して沈んだ意味
近木 圭之介
いまきいれ尚夫
黒崎 渓水
植原 宮子
松原 トヨ子
青木 久生
中根 寄代
中谷 みさを
久光 良一
木本 千鶴子
もりたえいいち

南沢 延江
比田井白雲子
三好 千峰
古市 郡青子
もりたえいいち

伊藤 完吾

ひとこと

自由律シリーズ 明かりを求めて「灯火」の句

皆さんの推薦票の高点句を挙げてみます。

17票 ビイドロのうす明りして祖母のかんざし
17票 音楽しずかにおわるとき灯が喝采する
15票 きたない下駄ぬいで法話の灯に遠く座る

15票 月よりもランプはあかるい母と子
14票 漁夫の手に濃い夜があるランプ
13票 雨にキネマの灯ばかり明るくて 船の笛
13票 小さなランプが階段を考えかんがえおりる
13票 ネオンが美しく倒産してる
11票 淋しい灯と思うに川が流れおる
10票 漁夫闇寄せて燃える
10票 終電車の尾灯が引きずる今日の悔恨
10票 山のてっぺんまでバブルの灯がつく

(詳しくは、層雲自由律誌67号に掲載)





内島 北朗 
伊藤 雪男
尾崎 放哉
平松 星童
近木 圭之助
近木 圭之助
田村 光
大森 定次
野村 朱鱗洞
中條 恵行
西川 ふじ子
林   和好


 <灯火>明り、電灯、照明、ランプ、ネオン、漁火、蛍光灯、というキーワードで、一応、層雲自由律90年の作品から集めてみたのですが、一番多かったのが「灯」でした。
 ところで、この「灯」ですが、「とう」とも「ひ」とも「あかり」とも読めますし、灯の内容も、電灯なのか、お灯明なのか、提灯または石油ランプなのかです。さくしゃのや当時の状況を知っておられる方なら想像がつくのでしょう。
 時代感覚の違う今日の価値判断で呼んでしまうと、実感とはだいぶずれて受けとるのではないかと、考えざるを得ないも句も多いのでした。

 今回の「灯火」作品資料には、これまでと少し違って、大正期の作品をかなり多く掲げましたのも、実は新しく生活に取り入れられた灯火を、当時のかたがたがどのように作品の中に表現されておられたかを実賞して見たかったのです。