インターネット創作研究
層雲自由律誌とトピックスご紹介

層雲自由律 最新号 紙面ご紹介(一部)

作品抄 編集部薦(p2掲載)

■一方向へ消えるため 時間うごく 
■クローゼットに潜むわたしの老醜 
■車が走る 風景と時間がカーブする 
■強くも、もろくも、あり人間 今日がどうなる
■鏡を海にして月の溺死体が浮く 
■生存者一人へ留守電が鳴り続け 
■つま先つまづいた大きな闇かも知れず 
■ベンチ 溜め息が落ちている 
■空はいばらない  
■心垢洗いながすつもりだったが 
■つばめ、巣立った寂しさを掃く 
■信じられる時の私が好き 
■A型 一直線に動き出す 
■憧憬 うしろ姿の遠ざかる 
■上にばかり伸びる東京の下町へ行く 
■エクレイム ヒロシマの樹になる流灯です 
■熱湯玉露 氷ふたつがやせてゆく 
近木 圭之介
青木 久生
いまきいれ尚夫
山上 清子
高田 弄山
藤田 踏青
久光 良一
前田 和子
比田井 白雲子
新城 宏
木本 千鶴子
生信 三千代
安田 阿佐子
今井 しげる
伊藤 完吾
佐藤 歓次
清水 八重子


ひとこと

比田井白雲子句集『求心』抄

〈読者推薦句抜粋〉高点7句

・一生バッタでいいから青草の道にもどせ
・大空の真下の巡査として一人
・ふだんぎでやってきたすずめよ
・この、お月さんのおちばふんでかえろう
・人間石となりてあたたかし
・石ころのつぶやきになっていた
・耐えて どっと芽ぶく

(詳しくは、層雲自由律誌67号に掲載)


〈比田井白雲子研究〉句集『求心』を中心として
自由律には様々な言葉の世界があってよいと思っている。
俳句的世界を極めるか、詩的世界に遊ぶか、心境的世界に籠もるか、哲学的心理を追求するか。それは各々の選択に任せるより仕方ない。
縁あって句集を手にされた方から、推薦句と句評を戴けたので掲げさせてもらった。

・いまきいれ尚夫 
句集は作者の句に対する思い入れがストレートに出ているし、内に秘めた大きな青空のような詩情がぎっしりと詰まっている。

・藤田踏青 
『求心』とは、自己を、人間の本質を、妻を、そして俳句の根源を求むる総称であろう。

・青木久生 
自由律俳人らしくご自分の主張、考えを存分に取り入れてまとめられているようです。

・中谷みさを 
戦争という非情の世界をくぐり抜けて、きびしい抒情の精神を培って句作されているように思えてならない。

・中根喜代 
句集はある意味で自分史とも言える。作者を知る手引きとさせてもらった。

・もりたえいいち 
自由律一途、一本筋が通っている。知的なリアリズムと、人間愛が、詩となって伝わってくる。

・久光良一 
鑑賞三句 ひとつすてたらおなかがすいた ねむればわすれてらくちんらくちん  こわれそうな こわしたくなかった一日

・新城 宏 
漢字の高慢さも、カタカナの硬さもなく、ほんわかあったかい、ひらがなの世界である。

・高田弄山 
短律を実践された氏にまず敬意を表します。

・西川ふじ子 
白雲子さんの青空はいつも透明感があってほっとさせます。

・浅沼道子 
生活の中から産出された句集です。

・木本千鶴子 
警察官を一生の仕事として励んで来られたよろこびと抱負が、句全体に溢れている。

・中條恵行 
一句鑑賞   広島 大根が白く抜けてきます

・三好千峰 
一句鑑賞   み佛のよいおん顔またまいります

・松岡月虹舎 
一句鑑賞  ああ のもうよ

・下村直樹 
短律の多い句集。平成15年から一気に生みだされた妻を詠った句は感動しました。